この「空想」というジャンルは、ある実際にある事物などを題材に、
もしかしたらこうだったんじゃないか!?という妄想にも似た思いつきにより作られています。
まあ軽い二次創作的です。
というわけで実在のものに対して、勝手なことをくっちゃべってるだけなので、
信じないで下さい(笑)
今回は、とある猫の物語。
作・panda 編・似卯
↓ ↓ ↓
「あーつまんねぇ。まあ適当にネズミでも追い回すか。」
そうつぶやきながら伸びをしている猫が昼下がりのある田舎町にいた。彼の名前は猫蔵。幼い頃から何の考えもなく本能的にネズミを追い回しているような、どこにでもいる猫に過ぎなかった。
猫がネズミを追い回す。
どんな猫も当然と思っているこのことに疑問を感じはじめるきっかけとなることがあったのはハタチを迎えたばかりのとある九月の晩のことだった。
彼はいつものようにネズミを追い回していた。だが、追いかけていたネズミが小さな隙間に逃げ込んでしまった。必死に手を中に入れようとするも、小さすぎて入らない。
「くそっ!」
猫蔵はつぶやいて、せめてネズミの様子を伺おうと隙間に耳を押し当てた。すると静寂の中でネズミの声らしき音が微かに聞こえてきた。
「チュウ子、チュウ太…。」
…なぜ、こんなに悲しげなんだ?
猫蔵はさっきまでの威勢が一気に削がれ、その場に固まった。またその世界が静寂に包まれた後、今度は幼い子らしい泣き声が聞こえてきた。猫蔵は次第に心配になって、
「どうしたんだ?」
と尋ねてみた。すると泣き声はやみ、しばらくの後、
「お前には関係ねぇ、早くどっかいっちまえ」
という声が聞こえた。
さっきのネズミの声だ…。猫蔵はその声に萎縮して押し黙ってしまった。だが猫蔵の中の何か熱いものが、このままにしちゃいけないと叫んでいた。さっきのネズミの声はとても弱っているようだったのだ。
「ごめんな、もう追わないから…話してくれ。」
猫蔵は心からそう言った。だが、
「お前には関係ねぇ、早くどっかいっちまえ」
というネズミの返事。しかし猫蔵は再び
「ごめんな、もう追わないから…話してくれ」
とネズミに語りかける。
…このやりとりが何度か繰り返された。ネズミは段々と、この猫は他の猫とは違うんじゃないかと思い始めた。関係ないのに、ずっと優しく俺たちに話しかけるなんて。根気と優しさの両方を猫から感じ取ったのだ。引かない猫に、ネズミのチュウ兵衛はとうとう出てきて話すことにした。
「俺には息子と娘が一人ずついるんだ。
だが、半年前に妻に先立たれた。…猫に噛まれてもてあそばれて、無惨な姿だったよ…。
けどな、悲しんでなんていられないんだ。残された子供たちを男手一つで育てなきゃならんのだからな。
俺は農家なんだが、今年猫に見つかって荒らされちまってな。復旧するまでの子供たちのご飯探しに、仕方なく単身で町に出ていたら、お前さんに追われたんだよ。
今日のご飯がないから子供たちはおなかを空かせて泣いている。
お前さんにはわからないかも知れないが、俺たちだって必死に生きてるんだよ…。」
猫蔵は話を聞いて自分を含めた猫の愚かさに愕然とした。猫蔵はチュウ兵衛に深く謝り、同時に「どうにかしてこの現状を打開しなければ」と考えるようになった。
それにはまずネズミの気持ちを知ることが大切だ、と考えた猫蔵は、ネズミのかぶり物をして街路などでネズミの人権を訴える運動を始めた。次第にそれは町中に広がった。
だが、所詮田舎町。猫蔵は自分の影響力の小ささが悔しかった。「ここじゃダメだ」彼は一大決心をした。「東京に行こう。」
そこなら、もっと多くの猫がいて、自分の考えを聞いてもらえる…。
猫蔵は東京に行った。そして田舎にいた頃以上に必死に活動をした。
彼のその特異な風貌と斬新な考えは東京でも評判をよび、ついにテレビから出演依頼がたびたび舞い込むようになった。猫蔵はこの機会を生かすべく名前をニャンちゅうに改名し、さらに積極的に活動を行った。そして、そこで得た収益を恵まれないネズミたちの保護に使ったのだった。
ニャンちゅうを始めた3年後のこと、一通の手紙が届いた。その手紙には小さな文字でこう書かれていた。
「息子も娘も元気に大きくなりました。ありがとう。 チュウ兵衛」
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