饂飩





「母さんの料理に文句あるなら食べなきゃいい!」


―――――じゃあ食べない。―――――


「饂飩、捨てるわよ。」


―――――どうぞご自由に。―――――




その饂飩はおいしかった。



ただ沈黙が重かっただけだった。

別に母さんの作った料理がまずいなんてこれっぽっちも思ったことはなかった。

ただ、具が多かったのをからかってやりたかっただけだった。

ただそれだけだった。








ちょっと前まで浮かれ気分で漫画を読み

母さんの帰りを待っていた

自分が、遠い。








独りで生活できないのが悔しかった。

金もない、能力もない。

今日あった出来事でさえ一瞬友達に相談しようとか

舐めた事を考えている自分が嫌だった。

死ぬ勇気もなかった。





ガキみたいにわんわん泣きながら自分を眺めてみた。

誰か、本当に心を許せる友達がいるか?

ずっと一緒にいたいと強く思っても、

それを友達に強制する事が出来ない。

構ってほしくてわざと弱音なんか吐いてみて

それで慰めてくれなかったからってキレてる。

やっぱりガキ。

取り返しのつかないガキ。

母さん、饂飩捨てたかな。









電気をつけないで行動してみた。

いきなり風呂場が寒く思えた。

熱帯魚の水槽が明るかった。

自分の部屋でパジャマを着た。





窓を全開にして木枯らしの中勉強した。

寒かった。

自分に対しての試練だとか悲劇のヒロインぶってみた。

こんなの越えられないようなら

自殺とかなんて到底無理だって。








母さんに話し掛けられた。

答えられなかった。

無視したとかそういう意味じゃない。

ただ、言葉が出てこなかった。







おなかがすいた。











今日の夜ご飯は饂飩だった。

母さんが喋るのも億劫なほど頑張って働いて帰ってきて

それでも作ってくれた饂飩。

誰もまずいなんて言ってない。

ただ、母さんに構ってほしかっただけだった。

私の言葉にキレた母さんに、私も暴言を吐いて自分の部屋に逃げた。













母さんが寝てから台所を見てみた。

饂飩がラップをして置いてあった。






コメント:
調子に乗ってSS2作目v
ってか前のと文章構成そっくりやん。(笑)
ただ、心温まるお話(?)になっただけで・・・。
っていうか、本当は詩を書く予定だったんですけどね;
SSは難しい・・・。詩みたいに短文の連続で気持ちを主体に書けばいいのか
それとも情景描写を主体に書くべきか・・・?
私にはわかんないですけど(汗)、
まぁとにかくこのハナシは詩の発展版、ってぇことでvvv見逃してください〜。(逃)



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