チーズケーキ
たとえば、それはチーズケーキかもしれなかった。
何でもよかった。
何でもよかったんだ。
僕の心さえ満たしてくれれば。
何でもよかったんだ。
別に君じゃなくても。
甘い味。
口の中に広がって
ほんのり溶けていく。
何ともいえないこの気持ちを
僕は味わいたかっただけなんだ。
君の匂い、君の味。
ほどよく溶けて僕をそそった。
妖艶な笑みの下に
何か隠されているような気がしてたけど
それより僕は欲しかったんだ。
僕を満たしてくれるものを。
優しい味。柔らかな感触。
眩しい瞳のその奥の感情。
何でもよかったんだ。
別に、人じゃなくても。
この感触。この臭い。
紅い色。
何でもよかったんだよ。
別に、君じゃなくても。
たとえば、チーズケーキでも。
苦い血の味。
あぁこれならチーズケーキの方がよかったかな。
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