花火



夜空に上がる 色とりどりの華

貴方の笑顔がちらついた



いつ 手を離したのかなんて覚えてないけど

あたしは あなたの指先に触れたことは無かった

そのせいなのかな

笑顔のウラに合った感情

それに気づけなかったのは



一年に一度だけ

この田舎の町が揺れる

一時間半の花火大会

いくつも上がる その 美

花火って炎色反応で光ってるんだって

貴方が 化学とか物理とか大好きだったから

私も一生懸命勉強してた

黄色は確かナトリウム 青緑は銅だっけ

もう覚えてないよ

貴方の背中と一緒に忘れられて行く



一番メインの大きな花火

繋いでた手が離れて

呟いた言葉は音で掻き消された

ねえ 何て言ったの?

返事は その伏せられた目から伝えられた



着込んでいった浴衣も

一生懸命セットした髪の毛も

全部が色褪せて

貴方の感触が残る両手を ゴシゴシ 水で洗ってた



おいしかったよ たこ焼き

カキ氷は二人で分けて食べあった

フランクフルトは大きすぎたね

ずっと笑ってくれてたと思ったのに

ずっと一緒にいれると思ったのに





何年経とうが

私の町がこの町で

一年に一度の花火大会がある限り思い出す



私の中では まだ消えていない火だけど

貴方の花火は今日上がった

大きく上がって盛大にお祝い

貴方の薬指には花火よりも光るもの





もう永遠に隣にいることは出来ないのに

貴方との思い出だけが 私の宝物

私の花火は上がることは無いよ

貴方という火が無くなってしまった今は

 

:2004.07.24.
花火大会、彼氏と行ける日はいつ来るのやら。
『あの時の花火だけが 私の心を揺り動かす』






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