空き箱
からから からから
道端に風で押されてゆく お菓子の箱
誰が食べたの
誰が捨てたの
だけど 私も拾うことなく
静かにそれを見送る
おめでとうという大賛辞
連呼しすぎて疲れてしまった
純白のドレスに身を包んだ彼女は
誰よりも幸せそうだった
昔は
共に
はしゃぎあった仲間だったのに
少しずつ 支えあった友も
自分だけのパートナーを見つけてゆく
私だけが 何も見えない暗闇の中 泳ぐ
哀しい心も 本気で笑える心も
気がつけば コピー用紙の中に埋もれた
誰の瞳も もう 真っ直ぐに見つめられない
王子様を待つような年齢じゃないけれど
今更自分からは動けない
10年間も ずっと
拒絶されてからも 好きでした とか
そんな言葉 吐ける年齢じゃない
彼女の笑顔は何より可愛かった
決して美人ではないのに なぜか凄く可愛かった
あなたの隣にいないのなら
私は 純白のドレスに身を包むことも
彼女のような笑顔で笑うことも ない
そして
あなたの隣に既に別の人がいるのだから――・・・
私は永遠にひとり
思い出したように振り返って お菓子の空き箱を拾う
中身だけ遊ばれて いらない部分はポイされた
どうせ捨てるにしても どうか 寒くない場所に
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