守り人。
君を守るためだけに。
僕はそれ以外何をする気もないよ。
――もう、いい。
それだけが口癖。
もう、いいよ。
誰と喋ることも、もうしたくない。
僕の残り少ないエネルギーを
君以外の誰のためにも使いたくない。
君の背中が遠ざかって、
僕じゃない誰かと寄り添って歩いていた。
けれど、君は僕の方を振り返って・・・
いつも、笑ってくれたんだ。
君も僕ももう長い年月を生きてきた。
君はもう弱々しく微笑むだけ。
君が選んだ男(ひと)ももういない。
だから、僕が君を守るよ。
君のその細い指が僕の腕をしっかりと掴んで、
君は一言呟いた。
――ありがと。
それだけで何十年の想いも報われる。
もう、いいよ―――――休んでも。
君の頬にキスをした。
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