煙草


君の香りが 僕を引き裂く

遠すぎる思い出に あっと言う間に色がつく









皮肉だよね

あの花を追い求める決心がついたその日に

君がまた現れるなんて

僕の背中に指を這わせ

笑いながら 僕の大切なものを打ち砕く







君を想うだけで それだけでいいと

そう信じてきていたのに

あの花を この手に抱くまでは

この雨の中を ひとり 歩いていくと







そんな僕の一大決心

君の前では見るも無残

髪の毛が触れそうな位置まで近づいて

何も知らない屈託ない笑顔を振り撒く

いい香りがする

思い出の香りが









古いアルバムからそのまま出てきたような

変わらない君の笑顔

停滞が嫌で飛び出した過去に

あっと言う間に吸い寄せられる







君の香りが 僕の全てを打ち砕く

君は麻薬

君なしじゃ もう生きられない

禁煙生活はもう終わり

 

:2004.11.11.
悪気のないはずの君が一番怖いよ。ってか。






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