弱いのは
弱くなった、と彼に泣きついた。
彼は柔らかく私の手を触りながら、苦笑する。
そんなことで、よかった。
彼のこの言葉にどれだけ救われるかわからない。
何をどうしたらいいのかわからない。
簡単に涙が出て、簡単に笑う。
どれも作っていない私の感情で、
いくらなんでもここまで起伏が激しかったのかと首をひねる。
彼に、構って欲しいだけなのかも知れない。
ふと、そんなことを思った。
私の手を離し、彼は呟く。
帰りたくないな。
それでももうこれ以上の負担はかけれないから、
帰った方がいいよ、そう返した。
帰って欲しくなくても、そう返した。
好きだよ。
立ち上がった瞬間肩を急に抱かれて、私の体が揺れる。
私の方が、
あなたを好きよ。
後半は言えなくて飲み込んだ。
ひとりじゃないということが、私を弱くさせる。
弱い自分でいられることの幸せさを、思い知る。
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