弱いのは


弱くなった、と彼に泣きついた。

彼は柔らかく私の手を触りながら、苦笑する。



そんなことで、よかった。



彼のこの言葉にどれだけ救われるかわからない。





何をどうしたらいいのかわからない。

簡単に涙が出て、簡単に笑う。

どれも作っていない私の感情で、

いくらなんでもここまで起伏が激しかったのかと首をひねる。



彼に、構って欲しいだけなのかも知れない。

ふと、そんなことを思った。







私の手を離し、彼は呟く。



帰りたくないな。



それでももうこれ以上の負担はかけれないから、

帰った方がいいよ、そう返した。

帰って欲しくなくても、そう返した。



好きだよ。



立ち上がった瞬間肩を急に抱かれて、私の体が揺れる。



私の方が、



あなたを好きよ。

後半は言えなくて飲み込んだ。







ひとりじゃないということが、私を弱くさせる。

弱い自分でいられることの幸せさを、思い知る。

 
:2007.11.23.
2006.11.19.制作。 詩というより、小説調エッセイ的な?







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