December
ふわり 風が吹いて
ぶるり 身体が震える
ああ 冬が来たなあ
夕焼けを ひとりで眺める
そのキンとした冷たい空気が好きだった
白くなって行く山と対照的に
赤と緑に覆われる街が好きだった
ドキドキしながら眠る夜が好きだった
朝起きたら 友達が増えるのが大好きだった
12月
裸で泥遊びをしていた年
ランドセルを背負っていた年
制服を初めて着た年
街を出て行くことを決心した年
どんなときも
やってくる12月が 好きだった
だけど
全てが壊れた年
12月も 壊れた
また今年も12月は来るけど
もう 私は昔のように笑えない
色づく街を見ても
合わない焦点で ぼうっと見つめる
それは 不幸でも幸せでもない
何もない
寒いなあ
コートの口を締めて 足早に歩きさる
夕焼けに 男の人がカメラを構えている
ああ あれを見て感動するのだなあ
私は
その心も壊れてしまったのだなあ
ああ 今年もきっと 寒いなあ
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