風音
久しぶりに風に触れると
匂いも暖かさもなく
それは私の横を吹き抜けた
私が ほう と 暖かい息を吐くと
それは そよそよと 返事をした
何かを ぽう と 失くして
何かに ふっ と 気づいて
嘘を演じながら
それが本物になることを 祈る
いつか
風が見えるように なるかな
小さい頃に思い描いていた 夢
叶わないと 言われ
消えかかっていたそれが
また 心に 像を創る
私は まだ ここにいてもいい?
あなたを まだ 追い求めてもいい?
風は
するすると 私を包む
私は それが
何も拒絶しないことを忘れていた
ほう と 息を吐いて
少しだけ前を見る
風と さわさわ 話をして
小さく息を吸い込み 生きていく
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