☆ザ・コンサート☆
「起きろ〜〜!!!」
その大音量で思わず私は飛び起きる!
あぁあ、いきなりギターなんてアンプ繋いで鳴らしてるよぉ。
いくらなんでも浮かれすぎっ。
「ユキラキ!今日は聖なる日よ!?12月25日だよーーっ!!」
「だからだよっ!さぁ、今日は歌うぜお嬢さん?」
ユキラキは・・・あぁ、サンタの帽子まで被って誰よりもノリノリじゃない!
「わかってるけど〜〜」
そう、今日はクリスマスコンサートを開く。
クリスマスに何かしようか、って話してたらうまいことユキラキが誘いに来て・・・
あれよあれよという間にメンバーがそろったの。
ギター!!
ユキラキ・コロンド!!!
あぁ、彼女はもうひとり完全にノリノリ。。誰も全然ついてけないよっ。
でも、何だかんだ言って楽しんでるけどね。
「さー早く着替えて着替えて!あんた以外全員そろってんだから!」
「嘘ぉ!?」
「嘘じゃないっての!いっそげ〜〜」
えぇえええ!?ありえないっ!
ショウまで頑張って用意しちゃってるの!?
あんなに微妙な顔付きだったのにっ???
やー、長年付き合ってきたけど、あいつだけはわからんわ・・・。
「そいえば、ユキラキ。」
「ん?」
「ベースの穴は埋まったの?」
そう、ベースは本来ムーがやるはずだった。
けど、ムーは昨日から入院してる・・・。
そう、自分で作ったマドレーヌを食べてお腹壊して入院。
しかも1週間は入院しなきゃ駄目らしくって、結局正月直前まで駄目なの。
かわいそーなんだか自業自得なんだか。
賞味期限が8ヶ月も切れたバターを使うからだよ。
私の言葉にユキラキはにぃっと笑う。そして私の頭をポンポン、と叩いた。
「ま、お楽しみに♪」
「じゃ埋まったんだね?」
ユキラキが嬉しそうに言うなんて、答えはひとつしかない。
「ん〜〜〜まぁ、な♪」
ユキラキはそう言ってケラケラ笑った。
「とりあえず早く来い!本番直前の合わせをするからっ!!」
「はぁーいっ!」
急げ急げ!!
パジャマをぱっぱと脱ぎ捨てて、枕もとに置いてあったサンタの衣装を慌てて着る。
肩が少し出てるのが気に食わないけど、まぁいっちょ行きますか♪
ボーカル!!
ナキ・サンダラン!!!
◇◇◇
「おっせーぞっ!」
ショウの怒鳴る声。あぁ、なんでこんなにやる気満々なのよ。
「ごめんってばっ。・・・って、あれ?」
笑ってるのはリュート。私、でしょ?ショウで・・・ユキラキ。
「やっぱり1人足りないじゃない。」
「も1人は重役だからあとから来るの♪」
ユキラキは楽しそうに言った。
「あとからって・・・」
「とりあえず、あたしらがミスったらそれまでなんだから、練習すっよ?」
ドラム!!
ショウ・クリィド!!!
キーボード!!
リュート・ソナチネ!!!
・・・本当は、リュートがドラムをやりたいって言ってたんだけど、リュートがノッてきて力任せにドラム叩くと破けて破滅することがわかったので、却下されたんだ。
だから、一番リズム感のいいショウがドラムになった。
さぁ、このメンバーでロックなコンサートをやりますかv
「やっぱりグループ名は『レッドムーン・チャイルドと愉快な仲間達』?」
「そんなベタなのやめてくれよ。」
「じゃあ何がいいのさ。」
「ん〜〜〜。。。」
ショウが考え込んだあと、ユキラキに耳打する。
ユキラキは聞いた瞬間満面の笑み。
な、何なの!?
「よっしゃよっしゃ!それにしよう♪」
「えーーー!?何なの!?」
「ベースが来たら発表するよっ。」
ユキラキは楽しそうに言った。
そして、ショウに頷くと、練習を始める態勢に入る。もーー全く!!
カン カン カン カン!
ドラム音、ギター音、そしてキーボードが混じって・・・
(あれ、なんかキーボード変。)
♪ Dashing through the snow
On a one-horse open sleigh ♪
バァン!!
「ちょっと、ずれてる!!」
ユキラキが持ち前の音感でリュートを指差す。
でも・・・今のは私も思ったよ、リュート・・・。
だって、明らかに・・・
「あ、一音ずれてた。」
「ったく!!!そんなんじゃ笑われるよ!?」
ユキラキの後ろに炎が見えるよ・・・。
燃えてるなぁ。
「ごめんごめん、僕初めてこーゆーの触ったからさ〜」
はい?
「ここまで来て大問題勃発かよぉおおお!?」
「どやって今までやってきたの?」
リュートは照れながら笑った。
「前まで使ってたキーボードは、この曲入ってたからさ〜〜〜」
ユキラキはばっと顔を上げた。
「今すぐ!!」
「えっ?」
「今すぐ取って来い!!!」
リュートの顔色がさっと蒼くなる。
「ちょ・・・昨日練習してたとこまで・・・片道2時間はかかるよ?」
コンサート開始は10時。今は7時。
本番まではあと3時間しかない。
「・・・お前なら往復2時間で行けるわ!とっとと行けぃ〜〜!!」
ユキラキがリュートの身体を引っ張って、蹴り出した。
リュートって・・・ムキムキだし・・・絶対体重あるのに・・・
ユキラキ、凄いわ・・・。
「どうすんの、ユキラキ!?」
私がユキラキに聞く。リュートがいなきゃ出来ないじゃないっ。
「いるメンバーだけで練習するしかないっしょ?」
ユキラキは平然とした顔でアンプの調節してる。
「そっそ。カリカリしててもしょーがないって。」
ショウまで同意してしまった・・・。あぁ、なんつーメンバー。
「じゃ、最初から行くよ?ショウお願い〜」
カン カン カン カン!
ドラム、そしてギター・・・ベースもキーボードもないけど、歌いだす。
♪ Dashing through the snow
On a one-horse open sleigh
Over the fields we go
Laughing all the way; ♪
バタァン!!
いきなり、スタジオのドアが開いた。
演奏はもちろん中止。
入ってきたのは、『重そうな服着た人たち』。
「ぅえ・・・?」
私が思わず呆然として見てると、ユキラキが前に進みだす。
「ここですここですあいどうぞー♪」
なんか・・・豪華なこの感じは・・・
ま・さ・か。
「・・・本当に、私でいいのか?」
「もっちろん♪そのために呼んだんだから♪♪」
うそだぁあああーーーーーーー!!!
何で、ライアラが来るの!?
「ちょ、ちょっと来ちゃっていいの!?」
私の慌てた声に、ユキラキとショウ、そしてライアラまでもが同時に振り向いて、言った。
「いいんじゃない?クリスマスだし。」
とゆーわけで。
ベース!!
ライアラ・テイクァス!!!
◇◇◇
「あ〜あ〜あ〜〜〜」
あれから何回か合わせて、ライアラの腕が素晴らしいことを知った・・・。
「本当は、クラシックギターが一番得意なんだが。」
笑いながら言う彼は、やっぱり綺麗だった。
う〜ん、ムーには悪いけど、ラッキー♪
し・か・し。
本番15分前にもなって、リュートが帰ってこない。。
やばいよ〜〜。
私はさっきから発声練習ばっかりしっぱなし。
完全に楽器を扱えなかったのは私だけ(笛とかなら吹けるんだけど、どうやらロックなコンサートには向かないみたい。)だったから回ってきたボーカルなんだけど。
でも、ちゃんとしたいし。
まぁ、この曲にギターをガンガンいれるってのもなっかなか乙なもんだけどね。
「♪What fun it is to ride and sing A sleighing song tonight♪」
私が口ずさんでいると、隣にライアラが立っていた。
「あぁ、ライアラ。」
ライアラは少し驚いた顔をして、そのあとふっと笑った。
「すまない。」
「えっ!?」
「歌を中断させてしまった。」
私は思わず笑った。
「そんなの〜〜」
も、この人は本当に・・・律儀すぎるとゆーか。
ま、そうでなきゃライアラじゃないよね♪
私はう〜んと伸びをした。
「ライアラ!!」
「何だ?」
「ありがとうね!・・・がんばろっ!!」
ライアラはふわっと笑うとゆっくり私の頭を撫でる。
「そなたの背中を見ながらなら・・・いくらでも弾ける。」
ぅ
わぁ〜〜〜
なんか、無性に照れる〜〜〜
あぁ、でも。
彼らになら私も背中を預けられる。
よぉーーーし、頑張るぞっ!!
私がライアラに再び笑いかけた時、リュートが駆け込んできた!!
「ま、間に合ったの!?」
リュートがニッコリ笑う。
「サンタのそりに乗せてもらったんだ♪」
「はぁ!?」
さぁ、その言葉が真実か否か!?
確かめるより先に、私たちの出番が来た!!
「行くぜっ!」
ユキラキの言葉で飛び出す・・・
「我ら、『ユキラキーズ』!!!」
「えぇえええええーーーーーっ!?」
それはナシだろっ!!
ショウも驚いてる。
やっぱり、ユキラキの暴走かぁああああ!!!
ショウが渋い顔をしながらスティック上げる。
ま、いっか〜〜〜。
カン カン カン カン!
ドラム・ベース・ギター・キーボード。
そしてっ・・・
♪ Dashing through the snow
On a one-horse open sleigh
Over the fields we go
Laughing all the way;
Bells on bob-tail ring
making spirits bright
What fun it is to ride and sing
A sleighing song tonight
Jingle bells
jingle bells
jingle all the way!
O what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh ♪
よきクリスマスを☆
2004.12.21.UP
「伝説の作り方」初めての番外編♪♪
もし、クリスマスがあったら・・・のパロディですっvv
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