BUS STOP!!!02 亘に連れられて駅に入った。 そこにいたのは、いつもここで待ち合わせてる梨伊子に・・・隆樹だった。 「おはよ、朗菜。・・・今日はま、遊んじゃいましょ♪」 梨伊子がこそっと私にそう言った。 私も笑い返した。 梨伊子も隆樹も制服でホッとした。 ま、家を出るとき私服じゃまずいよね。 「よ・・・朗菜。卒業式以来だな。」 隆樹がそう私に声を掛けてきた。私もにこっと笑う。 「おはよっ!梨伊子、隆樹!!!ってぇかさー?梨伊子がこんな誘いに乗るの意外だよ〜。」 いつものノリ、いつもの私で笑う。 私のためにも、その人のためにもばれちゃいけないことがある。 4人で今日を楽しく過ごすためには、ばれちゃいけないことがある。 私の演技はうまくいったらしく、皆に変化は何も見られなかった。 「私だってたまには羽目を外したいのよっ。」 梨伊子はいたずらっ子のような笑みを浮かべ、軽く私の頭をはたいた。 「ま、そりゃぁそうだよねー。ってどこいくの?滅多なとこに行けないでしょ?補導員とかいるし。」 私が梨伊子とじゃれながらそう言うと、亘が私をびしぃって指差した。 「それだよ、それ!問題は。よ〜く気付きました。だから、今日は皆で、学校終わる時間になるまで山行こうってことになっててな。」 亘が笑みを浮かべて黙った。 きっと、私の反応を待ってるんだと思う。 けど、けど、けど、 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」 なんて間の抜けた答え!? いくらリアクション王と呼ばれた私でも、それが精一杯だった。 だって、山!?学校サボって山!? 信じられないにも程があるし・・・。 「ま、いいじゃない。だって、学校が終わるまでだしね?」 梨伊子が苦笑しながら言った。 それでも私はなおも食いさがる。 「でも!山とかっ!?それが一般に高校生のする事なんかい!」 だって、高校生って言ったらさ、ゲーセンに行ってみるとか、そういう本当に遊ぶ、っていうことをするんじゃないのーっ!? 「平凡じゃないから楽しいんじゃん♪」 亘が活き活きとしながら言った。 ・・・・・・なるほど、ね。 そこで、梨伊子も隆樹も苦笑した。 亘のこの表情・・・。 いろんな悪さをしようとしたときも、俗に言う冒険のような行為をしようとしたときも、皆が必死に止めようとしたけど亘がこの表情になったときは止められなかった。 そう、いわゆる・・・『諦めさせるのは無理』っていう、少年特有のキラキラした表情? で、だから梨伊子も隆樹も止めるのは無理だって悟ってこんなことになってるわけね・・・。 これが他のかっこいいことなら良かったのに・・・。 思いつきで行動してるからな、こいつは〜。 「な?いいだろ???」 その瞳でさらに言ってくる亘に私はわざとふかぁ〜いため息を付いてやった。 「はいはいはいはい。何言ったってどうせ聞かないんでしょーが?でも、制服汚れるの嫌だよ?」 超不服そうな顔で私がそう付け加えると亘は待ってました、とばかりに自分の胸板を叩いた。 「その辺は安心して良し!とりあえず、ここから魚柳(うおやない)行きの電車に乗って、御崖で降りて御崖山(ごがいざん)に登るんだけど・・・」 にんまりして私を見つめる亘。 「ま、とにかく制服は汚れないからご安心を!」 ふと梨伊子と隆樹を見たら、2人とも物凄く不安そうな顔で私を見つめていた・・・。 ううん、不安そう、なんてもんじゃない。 今にも泣き出しそうな表情だった。 「梨伊子?隆樹?どしたの?」 隆樹がためらいがちに切り出そうとした。 「あのな、朗菜、御崖山に登るには、朗菜が最もき・・・」 「すとーーーーーーーっぷ!!!」 そこまで隆樹が言いかけていたのに、亘が遮った。 「隆樹、梨伊子、流石に高1だしもう大丈夫だろ。だから、秘密だ!」 「そこまで言われたら凄い気になるんですけど・・・」 「朗菜・・・」 梨伊子がさらに泣きそうな声を出すもんだから、余計にまどろっこしかった。 そして、隆樹が時計を見て、呟いた。 「時間だ。」 電車の音。アナウンスが入った。 『3番線に魚柳行き急行が到着します。危ないですので白線の内側まで下がってお待ちください。』 「よし、じゃ、出発ッ!!!」 亘が元気に言って、電車に乗り込んだ。 梨伊子と隆樹は私に向かって曖昧な表情を浮かべたまま、電車に乗った。 私は物凄い納得が行かない表情で、3人のあとについた。 そして隆樹と梨伊子の不安げな表情の意味を、私はすぐに・・・知る事となる。 コメント: 2002.12.22.UP☆★☆ 久しぶりのBUS STOP! 学校サボる理由はなななんと山登りッ!? どーでもいいけど最初と路線がはずれてきてるぞ!? 大丈夫か自分!?いけるのかオイ。 ま〜とにかく次はもう少し早く出せるようにしますねーv |