BUS STOP!!!03


「ふんふんふ〜ん♪」

・・・めぐるが鼻歌を歌っている・・・。

もちろん梨伊子も隆樹も私も他人のフリ。

うぅ・・・周りの人の視線が痛いよー。早く御崖に着いて〜。

なんて考えながら亘に背を向けていたときだった。

「朗菜。」

すぐ耳元で、隆樹の声がした。

「っとわ!びっくりしたぁ〜。何?」

「・・・ごめんな。」

「え?」

「・・・気まずいだろ?なのに、合わせてくれて・・・ありがとな。」

きっと、すぐ私の隣にいたオッサンにも聞こえなかったと思う。

それぐらい、小さな声だった。

「うん・・・。」

私は隆樹の方を向かないようにして、頷いた。

そして隆樹は何気なしに離れていった。

・・・そう。私は中学の卒業式の日―――――隆樹に告られた。

別に、普通にいつも通り喋っていたときだった。

亘は、人気者だから引っ張りダコだし、梨伊子も他の子といた。

丁度、私と隆樹の2人で喋っていた。

別に、いつものことだった。

話の途中、急に隆樹が黙った。

不思議に思った私が隆樹の方を向いたとき、隆樹は微笑みながら・・・私に、言った。

「好きだ、朗菜。好きなんだ。」

自慢じゃないけど初めて告白された。

どうしていいかわかんなくて・・・目一杯傷つけた。

「隆樹は、いい友達だよ!でも、それ以上になんて・・・思えないよ。思えるわけ無いよ。」

隆樹は笑ってたけど。

私はその当時・・・まだ"初恋"もまだっていう・・・なんていうか・・・

つまり大馬鹿者だった。

だから、隆樹の気持ちなんてこれっぽっちも、わからなかった。

でも、今なら。

"好きなひと"がいる、今は・・・隆樹の気持ちが、わかる。

そんな痛いこと、耐えられない。

なんて私は、取り返しのつかないことをしたんだろう。

もっと気持ちを考えれば・・・もう少し、もう少しぐらいなら傷つけないで済んだかもしれなかったのに。

その後悔は、きっと一生続くんだろうと思う。

でも、私はその後悔を背負うつもり。

だって、本当に・・・私が悪いんだもん・・・。

『次は〜御崖〜御崖〜お出口は左側です〜次は〜御崖〜御崖〜』

そのアナウンスに梨伊子、隆樹、そして私がどれだけ喜んだことか・・・。

亘も、もちろん嬉しかっただろうとは思うけど!

でも、私たちの恥ずかしさに比べたら甘いもんだよね。

そして電車のスピードが落ちて・・・周りの景色がだんだん・・・駅になって。

電車が止まって、私たちは降りた。

「さぁて、御崖!・・・朗菜、楽しみだな!」 亘がそう言ってにやっと不吉な笑みを浮かべた。

その時点で気付くべきだった。

おかしい。何か変!

嫌な予感はふつふつとした。

まるで・・・私の不幸を笑ったような笑い方・・・?不幸?

まさかっ!!!

自分で自分の考えを私は強く否定した。

それだけはありえない。あっちゃいけないって!

私が悶々と考えながら亘たちのあとを着いて行って、改札口を出て・・・

嫌な予感は的中した。

亘がキラキラ輝く瞳で私に向かってこう言った。

「よし!じゃあ、朗菜・・・このバスに乗るぞっ!」

「ばっかものぉぉぉぉぉ!!!」

すばこーーーーーん

亘が私の真剣パンチを喰らったのは・・・

言うまでもないだろう。





「朗菜・・・マジ痛いって・・・」

「へぇ・・・チミはそんな意見を私に述べられるのかなー???」

「うっ・・・すいません・・・」

頭を押さえて蹲った亘に、私は思いっきり冷ややかな視線を向けた。

梨伊子と隆樹は苦笑中。

だけど、まぁ亘の方に非がある、っていうのは今回はみんなの認めるところだと思う。

ったく、ふざけてる!

亘の後方に、"御崖山行き"っていうプレートをつけたバスがキラキラ輝いている。

あぁ腹立つ!

「あんたねー?私が一体バス乗ったらどれだけ吐くかわかってんの?」

「だ、だってバス酔いとかって・・・だいたい子供のものなんだろ?皆成長すると共に治る、って・・・」

「わたしゃ治ってないんじゃ!」

「でも、今日みたいに皆でわいわい乗れば・・・」

「てめぇ・・・納豆好きかってんだよ!?ふざけんなぃ!

私は思わず亘の胸倉を掴んで脅し文句を放ってしまった。

いかんいかん・・・。

あ、ちなみに"納豆好きかってんだよ!?"が脅し文句だから! え?っと思ったそこのキミぃ、これは結構有名なんだぞ☆

ってわけわかんない解説は置いといて。

とにかく、私はそれぐらいキレていた。

「取り敢えず・・・行き先変えるよ!」

「えぇええええー!?そんなっ・・・」

「あ゛?」

「な、なんでもないです・・・」

亘は完全に縮こまっている。

「さぁて・・・どこにするかなー?」

私の方は大分怒りも治まってきて、なんだか楽しくなってきた。

どうしよっかな?どこでもいいんだけど♪

そんなことを思いながらふとバスの方を見たとき。

「あぁあああああああああ!?」

・・・貴方・・・つまり、「BUS STOP」のキーボード。

"SADA"が、いた。



コメント:
2003.01.18.UP☆★☆
ってぇわけで〜〜〜はい、「BUS STOP」ですv
いやぁすいません、予想通りの展開でッ!(^^;)
んで・・・隆樹と朗菜の過去が・・・サラっと流されてます。(笑)
でもなんか今回の「BUS STOP」書いてるときは、いつもより楽しかったです・・・ナゼ?
「納豆好きかってんだよ!?」はぶち切れた時など、ご自由にご使用ください。(笑)




4話へレッツゴー♪


  □ Home □ Story-Top □ 完結小説Top □