BUS STOP!!!05 「でも、えーっと、"SADA"さんだっけ?生徒手帳だけで朗菜がわかったのって、凄いよな。」 「あぁ・・・そりゃ、わかるよ。僕、柘植朗菜さんの噂はよく聞いてるからね。」 "SADA"は物凄く楽しそうにくすくすと笑った。 亘と私が目を点にする。 『噂?』 あ、ハモった。 「うん。柘植朗菜、っていう元気で・・・活発で・・・。そしてどこか抜けてるんだろ?そういう子だってよく聞くよ。」 "SADA"はにっこりと笑った。 「誰に?」 亘が怪訝そうな顔で訊いた。 "SADA"はよくぞ訊いてくれましたっ!って顔をして・・・そして・・・嫌ぁな笑顔を作った。 「柘植朗菜さんのクラスに、湯木藤志っているだろ? 」 「は、はい。」 ぅわぁ、顔が赤いや。 "SADA"に話し掛けられて、私は舞い上がってた。 ・・・でも、何で湯木藤志のことなんて訊くんだろ? 湯木藤志っていうのは、私のクラスの・・・かなり頭のいい男子。 何だか難しい本とか結構読んでる。 よく同じ班になるからか、私とは結構喋るのだ。 2年連続で一緒のクラスだし・・・。 あ、もしかして? 「トーシが噂してるんですか?」 "SADA"は満足そうに頷く。 「・・・?トーシと知り合いなんですか???」 "SADA"は、またくすくすと笑った。v そして、右の頬っぺたを右の人差し指で掻くと、笑いながらこう言った。 「そいつ・・・、・・・ 僕の息子なんだよ。」 ・・・・・・。 ・・・・・・ 「はい?」 なんて間の抜けた返事だったんだろ!? だけど、そのときの私の気持ちはそれだったから。 はい?何て言いました? 息子?は?はい? 申し訳ございません。私の耳は聞く事を拒否しております。 「あれ?"SADA"さんて息子いるのー?ってことは、結婚してるの?」 「うん?そうだよ。」 亘が笑いたくてしょうがない、って言う感じで"SADA"にそう言った。 "SADA"は不思議そうに頷く。 ってオイ。 ちょっと待とうよ? 何だい、そりゃ? 私の気持ちはまる無視かい? ちょっと待てや? ・・・・・・。 「ちょっと待てェぇぇぇぇええええええええええええええええええっ!!!!!!」 あぁ、後ろから梨伊子と隆樹の笑い声も聞こえてくる・・・。 何て薄情な友達たちなのでしょう!!! っていうか、本気でそんなのアリなんかい。 "SADA"は不思議そうな顔で私のほう見てるし。 っていうか、っていうか・・・そんなの!!! 「どうしたの?」 "SADA"が不思議そうに訊いてくる。 だけど私の頭はぐゎんぐゎんと揺れている。 「え……。冗談、ですよね…?」 「まさか。藤志は僕の息子だよ。湯木忠浩(ユキサダヒロ)の第一子は湯木藤志なんだから。」 "SADA"は…クスクスと笑いながら言った。 あぁ…本名は湯木忠浩って言うんですか。そうですか。 そんなことも私は知らなかったんですか。 そして亘がもうがまんできないっ!と、口元に皺寄せながら私に耳打ちしてきた。 「朗菜っ♪し・つ・れ・ん?」 「ぅあああああああああああああああああああああああああっ!!!」 亘の言葉を聞くまいと、私は大声を上げた。 酷いよ〜。追い討ちかいな。 「で、朗菜の失恋が決定的になったところで…行くの?御崖山。」 梨伊子も可笑しくって溜まらなさそうに私に言った。 「…。どうしよっかね…。」 「え〜っ!?行こうぜ?ね、"SADA"さん、御崖山まで連れてってくださいよ〜っ」 亘がそう叫んだあと、そのまま"SADA"に振った。 こンの大馬鹿モノがぁあああ!何を言うか!!! 私が亘の肘を抓ると、亘は私のほうを振り向いて…ニヤニヤしながらこう言った。 「いいぢゃん!沢山"SADA"さんのこと聞けよ!ただのファンよりは近くなれるぞ?」 コイツは絶対面白がっている、ということで決定しておく。 「いいよ。そろそろバス出る時間だから…」 "SADA"は時計を見ながら言った。 あぁ…その端整な横顔…。それが一人の女のものなんてっ…。 「っしゃ!座ろうぜぇ〜。朗菜&梨伊子ペアが"SADA"の後ろで、俺たちがその後ろ!これでどーだ?」 「異論無し。」 「同じく。」 「もぉどーでもいぃわよ…」 梨伊子、隆樹、私の順でそれぞれ口を開いた。 "SADA"のすぐ後ろに私たちは腰を下ろす。 透明な板ごしに"SADA"の後ろ姿が見えた。 左手の薬指に指輪が見えてしまったけど、何も無かったことにした。 だって、あまりにも私がかわいそう過ぎるじゃないですか…。 コメント: 2003.05.10.UP☆★☆ すいません…2ヶ月ぶりですっ!(汗) ってか、ノリノリで書いていないのが見え見えでお恥ずかしい; かなり長いことかけてこんだけ書きました…。 も少しがーーーっと書けるようになりたいなぁ〜。。。 まぁ、お付き合いくださいませ。(笑) |