BUS STOP!!!06 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 『はぁ…』 3人の溜息が重なった。 3人ってぇのは、梨伊子&亘&隆樹。 ちなみに私は何も喋れん…。。。 あぁあああああああっ!!!ここまで酔ってしまうとは!!! 山登りは涙が出るほどくねくね道で、私に向かって死ねと言っている様なもんだった。 っていうか死ぬだろうと思われる位だった。 「ごめんな〜…。」 結局客は私たち4人しかいないバスの運転手、"SADA"が心配そうに私に声を掛けた。 「……」 別に怒ってるわけじゃない…ないけど、残念なことに車酔いには勝てません。 私はへろへろになって何を言うことも出来なかった…。 "SADA"は心配そうな顔で車を運転していた。バックミラー越しに見えた。 ごめんなさい。ごめんなさい。好きなんです。それだけです。 「あ〜・・・もしかしてこれって俺のせい?」 亘が焦りながら梨伊子に聞いた。 梨伊子は冷た〜い視線を亘に向けた後、私の顔を覗き込んだ。 「だ・・・いじょうぶ?」 私はそっと目をあけて梨伊子を見た。 あぁやっべ。目がクラクラして梨伊子の顔が赤と黄色と黒に見えるわー 吐くのも時間の問題かもしれないよぅ。 「無理。」 私はまた倒れた。 隆樹と亘は顔を見合わせたあと、亘だけが俯いた。 ごめんね、亘。みんながアンタを攻めてるけど・・・ やっぱりアンタのせいなんよ。・・・とぶち切れている私。 とにかく、とにかく。 「気持ち悪いぃ・・・」 私は寝返りをうった。・・・ら! ゴッ…ガン!という音と共に座席から落っこちた。 「朗菜ァ・・・」 梨伊子が心配しているような呆れたような声で私を抱きかかえる。 ・・・と梨伊子の顔が激間近にあった。 どれくらい近かったかというと・・・ワンモアで梨伊子の唇が私の唇に触れそうなくらいっ!!! 「ぅひゃ、ごめんっ!!!」 「梨伊子、慌てすぎだよ・・・」 私にゃ慌てる力もなく、ぐたっとしたまま梨伊子に座席に座らせてもらった。 私のその慌てなさ過ぎが、梨伊子にはあまり気にいらなかったのか・・・梨伊子は顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。 隆樹の曖昧な笑顔がやけに目に付いた。 何でアイツあんな顔してるんだろー…あぁ、私のコト好きだから? もう気持ち悪くって悪くって、私の頭は変だった。できるだけ隆樹の気持ちについては考えないようにしてきたのに、めちゃくちゃ考えてた。 隆樹って、今でも私のこと好きなんだよね、きっと。自惚れかもしれないけど、ちょっとそうだと思うなぁ。よくそんな感じの表情してるし。梨伊子にさえ焼きもちでしょ?シャレにならんわぃ。 ったく、皆して何なのさ…。 ブツブツ呟きながらも身体は動かない私。…と、いきなりバスが止まった。 「え?"SADA"さん?」 亘が"SADA"の方を向く。"SADA"は大きな溜息をついた。 「君たちは、急ぐ?」 「急ぎませんけど、一体どうしたんですか?」 「あまりにも、朗菜サンが可哀想だから…。もし、君たちが急がないなら、頂上でゆっくり休ませてやってくれよ。」 「あ、…はぁ…。」 「僕もちょこちょこ止まる事にするよ。まぁ、頂上のバス時刻までには必ずつく必要があるから…そんなにはできないけど。」 急に、じぃんってきた。あぁ、私、何ていい男に恋したんだろう!? 皆に対して苛立ってたこともあって、私の頭の中は"SADA"への愛で一杯になった…。 苦しくて声が出なかったけど、必死に搾り出した。 「"SADA"さぁ〜ん…」 とにかくお礼を言おうと思った。とにかく何も考えれなかった。"SADA"がこっちを向いた。 ぐにゃっとした身体のまま、私は顔だけ"SADA"に向けた。 「好きです…」 "SADA"はにこっとした。 ぅあぁああっ!?もしかして… 「ありがとう。ライブに来てくれてたもんね。『BUS STOP』のファンでいてくれてるの?」 ガクッと来た。まぁ、確かに「好き」なんて言われ慣れてるかこの人たちは…。 わかるように、ちゃんと言わなきゃ。私、今、言わなきゃ。 私の頭には摩周湖なんか比べ物にならない位の濃すぎる霧がうようよしてた。 ただ、"SADA"が好きなんだってことと、それを伝えなきゃって想うことしか頭に無かった。 「…ファンですけど…そうじゃなくて…貴方を個人的に愛してます…。」 印象に残ってるって言ったら何だろう? 亘のあんぐり開いた口?梨伊子の信じられないと言った感じの顔?隆樹の思わず落とした中身の入ったファンタ? いや…やっぱり、"SADA"の硬直した姿だろう…。 ってかなんでぇっ!?どうして… 私は言っちゃったのーっ!? 後から後悔ばっかりしても、もう遅すぎた。 "SADA"は硬直が溶けた後、何事も無かったようにバスを運転しだした。 その沈黙が、既に答えだった。 いや、わかってる。わかってるよ。 さっき結婚してるって言われたばかりじゃん…。 しかも、息子は私と同級生?ありえないよ。そんな人に恋をするなんて。 それでも、それでも好きなんだもん。好きでたまらなかったんだもん。 言わずにはいられなかったんだよ…。 "SADA"はがーっとバスを走らせて、頂上に行ってしまった。 動揺したのかスピードも上がって…私の酔いの酷くなりようと言ったら…凄かった。倒れて顔も何も上げられなかった。 そして、30分。地獄の30分。酔いも酷いわ、沈黙は辛いわの、今までの人生で一番キツかった30分。 流石に…ここまで酔ったのは、初めて…。 私はへろへろのひょろひょろのふらふらになって、バスから降りた。 「りょ、朗菜…」 梨伊子が心配そうに抱きかかえてくれている。私はしゃべることが出来ず、無言でそれに身を任せた。 そして…バスから、"SADA"が降りてきた。 「気持ち悪くて、疲れてるときに…酷かも知れないけど…。…けど、ごめんね。」 車酔いでぐらぐらになっていたけど、言葉がはっきり聴こえた。 その「ごめんね」が運転と告白の返事とどっちなのかはわからなかった。 それでも、十分伝わってしまった。伝わって欲しくなかったけど、伝わってきて… "SADA"の優しさのひとつひとつが、胸に染みた。私を傷つけまいとしてくれたんだな、ってことがわかった。 だけど、だけど。 1年間ずっと…ずっと、想ってきたから、…やっぱり…つらい…。 「Ruby」に通い詰めた1年間。ドキドキしてた1年間。 バスの運転手だって聞いたときも、がっかりはしたけど、貴方を嫌いになんてなれなかった。 貴方のことは本当に運命だと想った。私はこの人を好きになるために、今まで誰も好きにならなかったんだって想えた。 好き。本当に好き…誰より…。 「いや…」 口から思わず本音が出た。 「え?」 「嫌です。」 「…。」 "SADA"は少し俯いた。それでも私は構わなかった。 「私は、"SADA"さんが好きっ!!!!!!!!!!!」 声の限り叫んだつもりが、全然でなかった。酔ってたから? ぅうん、声は出なかったけど、何か……込み上げてくる…。 お腹の底から…どんどん来る… 「ウッ…」 「えっ!?」 梨伊子がやっと気付いたけど、時既に遅し。 「げーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ…」 "SADA"の前で☆ 生まれて初めて好きになった人の前で☆ しかも人生初めての告白っつぅ大行事のすぐ後に☆ 私は、…思いっきり…。 ビニールも何もなく…道に……… 吐いちゃった…。 あぁあぁああああぁぁあぁあああぁあぁぁぁああぁぁぁぁっ!? コメント: 2003.08.26.UP☆★☆ 約4ヶ月!約4ヶ月!!ぃや〜いくらなんでもっ。 やばすぎる駄作。今までで一番ヤバイかもしれませんね。(滝汗) 駄目ですわ…ちっとも、ノレないから今この話を書くべきではなかった…。。 |