夢見が丘


1.精霊の存在

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ああ。空が明るい。

この空を見るのはいったい何回目なのだろう?

もう、千年もこうしてきた。

この丘の上でずっと・・・立ち続けてきた。

この世のすべての人の「夢」を見守るために。

また、あの人に会うために。



西暦2945年8月6日。

地球の日本国の広島県に一人の精霊がいた。

彼女はなぜ、ずっとこうしていることができたのだろう・・・?



あれは私がこの丘に立たされたころ。

私はこの仕事が嫌で嫌でしょうがなかった。

だって、ただたんに突っ立ているだけなんだよ?

こんなにつまらない仕事・・・この世にはないでしょう??

私はコレからこの仕事を、永遠にやれ!・・・って神様から言い渡されたときだったし。

もう、何もかも嫌だったね!!

やってられないって感じいいいいいい!!!

って、私はきれまくっていて、何にも見てなかった。

もちろん、人間も・・・ね。



あれは・・・私があの丘の上でずっと丘を見ていろって言い渡されてから3日ぐらい時だったかな?

一人の少年(6歳ぐらいかな?)が私の隣に座ったの。

初めて、私のそばに人が来た瞬間だった。

「あ、ねえねえ。あのさあ・・・」

私が話し掛けたのにそのこはまったく気づかないようにここから見える景色を見下ろしていた。

「・・・???ね、無視しないで聞いてよ〜。」

ちょっと泣きそうになってきた私。

それでも少年は気づかないように景色を見ている。

「ちょっと・・・」

「こうへいく〜ん!!」

私の言葉をさえぎるように女の子の声が聞こえた。

少年は振り向くと、その女の子に向かってそう言った。

「あ!あやちゃん。こっちに来なよ!景色が綺麗だよ!!」

女の子はこっちに走りよってくる。

「あ、ねえ・・・」

女の子にも話し掛けてみたが、女の子も素通り。

・・・ったく。

最近のガキは本当に性格悪いなあ。年上の人に対する礼儀も知らんのかい!

あ、ちなみに私の外見年齢は16,7だから。実際年齢は・・・内緒☆

ま、それは置いといてとにかく私はいらいらしていた。

「向こうから見ても綺麗そうじゃない?」

「じゃあ、あやちゃん、一緒に向こう行こうか。」

"あやちゃん"と"こうへいくん"はこっちに歩いてきた。

・・・。

ここまできたらもう無視できないぞ・・・!!!

2人は歩行を変えずこっちに近づいて来る。

ちょっと・・・このままいったら・・・・・

2人は私に気づいていないのか進路を変えない。

お〜い・・・私は動けないからって・・・!!!

ぶつかる!!!

すっ・・・

え?

2人は私の体の中をすり抜けていった。

ど・・・どういうこと?・・・私はいったい何・・・?

・・・私の存在はこの世の中にはないというの?

私の存在を、誰も知らないということなの?

ああ・・・そういうことか・・・

だからあの2人もちっとも気づかないんじゃないか。

「はは・・・なんだぁ・・・」

哀しくなった。

ものすごく・・・。

ものすごい孤独感を私は覚えて・・・ひとしきり泣いた。





コメント:
これも結構前の作品デス。
まだまだ精霊サンが寂しいですね・・・。^^
一応、完結までアップしたので、ヒマでしたら呼んでってください☆


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