夢見が丘


4.私の正体は・・・

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また次の日も雨。あ〜あ・・・今日も独りか・・。

つまんな〜い。

そう思って、ぼーとしていたときだった。

「あや!?」

光輝の声がした。

「えっ!?光輝???」

私はびっくりして後ろを振り返ってみる。

そこには・・・驚いた顔の光輝が立っていた。

「なんで、傘差してないんだよ!?」

光輝が水溜りの中をばしゃばしゃと音を立てながら走りよってきた。

「ほら、風邪引くぞ!」

そう言って、私に傘を半分かしてくれた。

「ありがと。」

ところが、光輝は驚いた表情になると私にこう言ってきた。

「なあ・・・一つ、聞いていいか?」

「え・・・いいけど・・・」

どうし・・・たんだろ?

「・・・。なんで、カッパを着てなくて、傘もさしてなかったのに・・・濡れてねえんだ?」

!?!?

あ・・・そうか!!!

雨さえも私の体を素通りしているのか!!!

ど、どうしよう・・・?

「なんで・・・答えてくれないんだよ?しかもまた・・・1センチもずれてないところに立ってるし・・・。どういうことなんだよ!?」

私は答えられるはずもなく。

雨の音だけが、辺りを支配した。

「なあ・・・頼むから答えてくれないか・・・?あやはいったい・・・何者なんだ?」

・・・・・・

言える、わけない。

「だって・・・たぶん言ったらもう、光輝は話し掛けてくれなくなる・・・。」

私の声は半分涙声だ。

「私の今の支えは・・・光輝なんだよ・・・。光輝がいなくなったら、私はもう・・・。」

きっと。生きていけない・・・

後の言葉は続かず、嗚咽が私から漏れた。

「あや・・・。大丈夫だよ。おまえが支えなのは、俺も、同じだ。」

光輝が少し赤くなりながらうつむいて、言った。

「だから、その・・・なんていうんだ?俺が、あやに話しかけなくなるって言うことは・・・まず、ない。」

光輝は顔をあげて私をきっと見据えると、

「だから・・・あやのことを教えて欲しいんだ。」

と、なんだか恥ずかしいような・・・という顔をしていった。

「本当に・・・また、ここに来て、話し掛けてくれる?」

「もちろん!」

光輝は即答した。

私はかなりほっとした。

・・・ここまできたら、もう・・・言うしかないよね?

私は、意を決した。

「驚かないで聞いてね・・・って言っても多分無理だろうけど。あのね・・・私、この地球すべての人間の『夢』を見守るために神様から派遣された・・・精霊なんだ・・・。」

「せいれい?」

狐につままれたような顔をしている光輝。

まあ、そりゃそうか。

「・・・・うん。精霊。」

「えええええええっっっ!?」

はは。

思ったとおりの反応をありがとう。

「え、精霊って精霊って、あの、童話とかに出てくる!?」

「うん、その精霊。」

ああ・・・やっぱり、人間じゃない、しかも「精霊」なんていう妖しいものにはもう話し掛けてくれないよ・・・ね。

「すっげーーーーー!!!」

光輝はガッツポーズまでして喜んだ。

今度は私が狐につままれたような顔をする番。

「え、光輝?」

「俺、てっきり幽霊か物の怪のたぐいかと思ってたんだよ!それが、精霊なんて・・・すげえよ!!!」

まじめに顔を赤くさせて興奮してる。

「じゃ、じゃ・・・・また、話し掛けてくれるの???」

「もちろんだぜ!言われなくても、毎日ここに来るからな!」

光輝が、にっかり笑ってそう言った。

「はあ〜〜〜〜〜〜っ・・・良かった・・・」

私は心からの安堵の息を吐いた。



光輝はそれから毎日来てくれた。

・・・約束どおり。

毎日また、楽しそうに私に話し掛けてくれる私も前よりは自分のことを話すようになった。

でも・・・一つだけ心配なことがある。

それは、この丘に来る周りの人からの視線だ。

光輝は、周りから見たらはっきり言って独り言をぶつぶつ呟いている怪しい人・・・だからなァ。 私は、そのことも光輝に言った。

だけど、光輝は「だいじょーぶ、だいじょーぶ。」なんていって私に取り合ってくれていなかった。

本当に大丈夫なんだろうか・・・???

私はその時、本当に何よりも光輝を心配していた。

そして、この気持ちは、きっと・・・・・





コメント:
あやちゃんがようやっと目覚めました。(笑)
うぅ〜ん、そんなに展開していないかも・・・?
まぁ、気にせず読んでください・・・(><)


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