夢見が丘
5.最初で最期の花束
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ある、晴れた夏の日の午後。
今日も光輝は私のもとに来てくれた。
「よっ!あや。今日もいつもと変わんないな〜。」
「変わるわけないでしょーーー???」
「あのさ、あや・・・」
そう言いかけて急に光輝は黙ってしまった。
「どしたのさ、光輝???」
「あや。聞いてくれないか?」
光輝が今まで見たこともない真剣な表情で私に話し掛けてきた。
「えっ!?何。どうしたの・・・?」
「俺・・・特攻隊に入ることになった。」
「特攻隊!?嘘だア!特攻隊って言ったら、帰りの船はないんでしょ?光輝・・・死んじゃうよ!?」
「ああ・・・100%、俺は死ぬ。でも、これもお国のためだ・・・。」
「そんなの!ねえ、光輝、花屋はどうするの?諦めるの???」
私がそう問い詰めると光輝は下を向いて悔しそうに唇をかんだ。
「俺が、次生まれ変わった時に・・・・叶えるよ。」
「だめだよ!かなえなきゃあ!!!夢でしょ!?あなただけの夢じゃない!死んでも、叶えてよ!!!」
「・・・もう、無理だよ。死んだら叶えられないし・・・。もう。無理なんだよ!!!もう・・・」
「光輝・・・」
光輝は心底、悔しそうな悲しそうな顔をした。
「でも、今できることだけはしときたいんだ。」
「え?何?」
「はい。」
光輝はそういうと私に大きな向日葵の花束を差し出してきた。
「え・・・これ・・・」
「これ、あやにやる。俺の作った、最初で最期の花束だから。」
「!!!」
私は涙が出そうになるのをこらえて花束を受け取ろうとした・・・が。
ぱさ
花束は下に落ちてしまった。
私の体をすり抜けて。
「あ・・・こんなときも、私の存在を神は認めてくれないの?ひどいよ・・・」
光輝はがっかりしたような顔をしてたけど、でも、にこっと笑って花束を私の足元に置いた。
「これで、いつでも見れるだろ?」
「うん・・・ありがとう。本当に・・・ごめんね。」
そして、私たちは最後の喋りをしていた。
時は、楽しい時ほどあっという間にすぎるもの。
本当に、本当に、短く感じた。
かーん かーん かーん かーん かーん
「あ・・・」
「・・・じゃあ・・・あや。俺、明日の夜の列車で行くから。明日は荷物の整理とかで来れないと思うけど。」
「うん。わかった。じゃあ、ね。」
「ああ・・・」
そして、光輝は走っていった。
さよなら・・・さよなら・・・
私の瞳から涙があふれてあふれて止まらなかった。
「あや!」
その時、光輝が大声で叫んだ。
「向日葵、大切にしろよ!!!」
「もちろん!」
私の顔は最高の笑顔にしたつもりだったけど、泣き笑いみたいになってしまった。
さよなら・・・
さよなら・・・。
さよなら、光輝・・・。
コメント:
今回のが展開してるかも。(爆)
ってゆーか、やっぱり前に作った作品だから・・・(←言い訳)
さ〜、光輝クンとあやちゃんはどうなるでしょうかッ???^^
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