++DREAMERS 〜REASON2〜 ++ 【1】


「おはようございます!」

9月1日。夏休み明け。生まれて初めて、クラスのコに自分から声をかけた。

クラスのコは一瞬びくっとしたけど、すぐに私のほうを向いて、ちょっと曖昧な笑みを浮かべながら、こう言ってくれた。

「おはよう!」





「な、気分いいだろ?」

私―――――藤野恵理子にそう話し掛けてきたのは、東真理奈。真理奈ちゃんはクラスの人気者で、私にとってはずっと苦手な存在だった。

けど、昨日…たった一日で、真理奈ちゃんのことが大好きになってしまった。

「はい。」

私は真理奈ちゃんに向かって、今の私が持っている最高の笑顔を向けた。

アレだけ憂鬱に思っていた2学期の学校。

まさか、こんないい気分で迎えられるなんてこれっぽっちも思ってなかった。

真理奈ちゃんは、学校に着くとすぐに私に話し掛けてくれた。

取り巻きのコたちはびっくりしてたけど、私に対する嫌悪感はそのおかげで、ちょっと薄れたみたい。

私は、1人で大丈夫なんて強がってたけど…本当は、友達が欲しくてたまらなかったんだ、ってやっと気付いた。

真理奈ちゃんの、おかげで…。





「よ〜し、じゃあ今日のLHRは、席替えをするぞ〜!男女別にくじを引け〜!」

若森先生…は、眼鏡をかけていて、体はもやしっ子でひょろひょろな先生。通称ヘロモリ。

その先生が、席替えのくじを配り出した。

あぁそっか。2学期になったから、席が替わるのか〜。ってことを、真ん中ぐらいまでくじがまわってから、やっと気付いた。

そのすぐあとに私の番だった。

今の隣の席は、林君という人だった。あまり喋らないタイプの人で、私とは結局、一度も喋らなかった。

ま、2学期からはそんなことがないように頑張ろう。

でもいきなり深澤久志、とかきたら嫌だな〜。なんて思いながらくじを引いた。

深澤久志、っていうのは、私の学校のアイドル的存在な男の子。

かっこいいかっこいいって先輩、同学年、後輩かまわず大人気。

他の学校の人たちにも人気があるとかないとか。信じられない。

あんまり…私の好みじゃない。ナルだし。

どうせなら、石川君とか…その辺のちょっと目立たない男の子の隣がイイナv

あと、真理奈ちゃんと一緒の班が、いいな…。

「皆引いたか〜?それじゃあ発表するぞ〜っ」

そして先生が発表していった。

「えぇっと〜藤野〜15番〜」

15番、かぁ。

15番って行ったら前から5番目の廊下側。後ろからは3番目。

なかなかいいかもしれない…なんて思いながら私は隣の人の妄想にかき立てられた。

…取り敢えず、深澤久志だけは避けたい!!!

ドキドキしながら待っていたけど、15番男子はもう読み上げたらしく、それから読み上げられることはなかった。

「じゃあ席替えろ〜。」

どぉおおおっ

先生の声と共に、皆が一斉に動き出した。

「ぅわ、ごめん。」

「ひゃ!?」

後ろから机のプレス。…う、動けない…。

「ごっめ〜ん!」

「ひょ!?」

左からの机のプレス。…く、苦しい…。

「悪いっ!」

「ぐ…」

前からの机のプレス。…い、息が…。

「恵理子、さっさと机動かせよ!」

真理奈ちゃんが右から私を引っ張り出してくれた。

「あ、ありが…」

「お礼なんて言ってないで!恵理子んところが一番通行されてんよ!?」

「ご、ごめ…」

「はい、動いた動いた!」

真理奈ちゃんが笑顔で私を押す。

背中の手が心地いい。友達…に押して貰ってる、そんな感じがする。

「真理奈、いいなぁ〜久志君の隣でしょう〜?」

「代わってよぉ〜。」

「へっへ、いいだろ〜☆」

クラスの女の子…えぇと、何て名前だったかな?…が、真理奈ちゃんに縋る。

そっか、真理奈ちゃんが深澤久志の隣なんだ。(よかったぁ)

真理奈ちゃんは笑ってそう言ってたけど、私にはあんまり嬉しそうには見えなかった。

無理して笑ってる、そんな感じ。

気になったけど、なんとなく気が引けて、そのことについては訊けなかった。

「真理奈ちゃん、私の隣誰だかわかる?」

「えぇ?恵理子、聞いてなかったのかよぉ…。ま、行ってみてからのお楽しみだなっ!」

そのまま真理奈ちゃんは左の窓側、私は右の廊下側へ別れた。

班は違うのかぁ…残念だなぁ。

せっかく二学期から前向きに頑張れると思ったのに。

真理奈ちゃんがいれば、本物の私以上に頑張れるのに。

…なぁんだぁ。

かなりがっかりしながらも、私は自分の場所を探した。

15番…は、あそこだぁ…

なんて思いながら私は机をその場所に動かすと、隣に机がもう一つ動いてきた。

あ、この人だ。この人が…私の隣の席になる人だ!

…どきどきする…誰、かな…?

「あ…。」

「お、藤野、ここか?…まぁ一学期間よろしくな!」

私の隣にいたのは―――――、

友達が少ないわけでもない、多いわけでもない、かっこいいわけでもない、かっこ悪いわけでもない、頭がいいわけでもない、頭が悪いわけでもない、女子と仲が良いわけでもない、女子と仲が悪いわけでもない…

そんな中途半端な男子。

確か名前は…森脇(もりわき)(あらた)

「よ、よろしく。」

森脇君の眼鏡が日に当たって反射してて、ちょっと可笑しかった。











コメント:
2003.03.25.UP☆★☆
ついに帰ってきましたっ!(?)REASONの続編ですっ!!!ってかバイオリン話0!!!(笑)
3200Hitのレナさまへvvv大変遅くなってごめんなさい…(焦)
今回は普通の学園モノを書いてみたつもりです。(って今までも普通だけどさ。)
まぁ、REASONで明かせなかったところなどをちゃんとDREAMERSでは完結させたいと思います。
ではでは、これからお付き合いくださいませvvv



第2話へ。。


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